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2013年10月23日水曜日

2人でババ抜き



<問題>
AとBの二人がいます。
Aは1,2,3,4,5と書かれたカードを持っています(全部で5枚)。
Bは0,1,2,3,4,5と書かれたカードを持っています(全部で6枚)。

最初にAとBのどちらかが、相手のカードを1枚引きます。
もし、手元に同じ数字のカードが2枚あれば、その2枚のカードを捨てます。
次に先ほどカードを引いてなかった方が相手のカードを引きます。
そして、手元に同じ数字のカードが2枚あれば、その2枚のカードを捨てます。
これを交互に行っていき、最初に手持ちのカードがなくなった方が勝者とします。


最初にAがBの持っているカードを1枚引くのと、
最初にBがAの持っているカードを1枚引くのと、
どちらがAの勝算が高くなるでしょうか?

ただし、相手のカードをとるとき、どのカードも等しい確率で取るものとする。





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解答は下にスクロールしたら出てきます。
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(ここでは、0はババ抜きで言うジョーカーである。)



<解答>
0のカードとその他にn枚のカードを持っている人が相手のカードを先に引いて
0のカードを最初に持っていた人が最終的に勝つ確率をJS(n)とする。


0のカードとその他にn枚のカードを持っている人が相手にカードを先に引かせて
0のカードを最初に持っていた人が最終的に勝つ確率をJA(n)とする。

0のカードを持っておらず、n枚のカードを持っている人が相手のカードを先に引いて
0のカードを最初に持ってない人が最終的に勝つ確率をNS(n)とする。

0のカードを持っておらず、n枚のカードを持っている人が相手にカードを先に引かせて
0のカードを最初に持ってない人が最終的に勝つ確率をNA(n)とする。

(ちなみに、Jはジョーカー(Joker)を持っている人、Nはジョーカーを持ってない(Nai)人、
Sは先に(Sakini)相手のカードをひく、Aは後で(Atode)相手のカードをひくを意味している。)

まず、JS(n)+NA(n)=1, JA(n)+NS(n)=1であることを証明する。

これは、0のカードを最初に持っている人が最終的に勝つ確率と
0のカードを最初に持ってない人が最終的に勝つ確率を合わせたら
1になることより自明。(ようは、Aが勝つ確率とBが勝つ確率を足したら1である。)




次に、JS(1)=0となることを証明する。
これも、 相手が1枚のカードしか持っておらず、そのカードを0を持っている人が
引いたら、相手はカードが必ずなくなって必ず勝ってしまうことより自明。

また、JS(n)+NA(n)=1より、NA(1)=1

次にJA(1)を求める。
0のカードを持っている人のカードを、0のカードを持ってない人に先に引かせると、
0のカードを持ってない人が、1/2の確率で0以外のカードを引く。
すると必ずペアを作るので、0のカードを持ってた方が必ず負ける。
また、1/2の確率で0のカードを引く。
すると、0のカードを先に持っていた人が最終的に勝つ確率はNS(1)となる。
(そりゃ、0を持っておらず、先に相手のカードを引く状態になっただけだからね)

JA(1)=1/2×NS(1)
JA(n)+NS(n)=1であったので、
JA(1)=1/2×(1-JA(1))
ゆえにJA(1)=1/3
ついでに、NS(1)=2/3

さらに、0のカード1枚とその他にn枚のカードから1枚のカードを引く時、
0のカードを引く確率を1/(1+n), 0以外のカードを引く確率をn/(n+1)となることを
考慮に入れて、JS(n),JA(n)を求めると、

JS(n)=JA(n-1)
JA(n)=1/(n+1) ×NS(n)+n/(n+1) ×JS(n-1)となる。

これを使うと、JS(2)=JA(1)=1/3となる。

さらに、上の漸化式を改良すると、(NS(n)=1-JA(n)であることも使って)
JS(n)=JA(n-1)=1/n ×(1-JA(n-1)) +(n-1)/n ×JS(n-2)=1/n ×(1-JS(n)) +(n-1)/n ×JS(n-2)

ゆえに、(n+1)JS(n) - (n-1)JS(n-2)=1となる。

nが奇数の時、
(n+1)JS(n) - (n-1)JS(n-2)=1, (n-1)JS(n-2) - (n-3)JS(n-4)=1,・・・・4JS(3)-2JS(1)=1
を左辺は左辺だけで足し合わせて、右辺は右辺だけで足し合わせると、
(n+1)JS(n)-2JS(1)=(n-1)/2
よってnが奇数の時、JS(1)=0であることを考慮に入れて、
JS(n)=(n-1)/{2(n+1)}

nが偶数の時も同様に、JS(2)=1/3であることを考慮に入れて、
JS(n)={(n-2)/2 + 1}/(n+1)=n/{2(n+1)}

JS(n)=JA(n-1)なので、JA(n)も求められる。

nが奇数の時、
JA(n)=(n+1)/{2(n+2)}
nが偶数の時、
JA(n)=n/{2(n+2)}

で、求めるのは、NS(n),NA(n)なので、
NS(n)=1-JA(n), NA(n)=1-JS(n)であることを考慮に入れて、
nが奇数のとき、
NS(n)=(n+3)/(2n+4)
NA(n)=(n+3)/(2n+2)
nが偶数のとき、
NS(n)=(n+4)/(2n+4)
NA(n)=(n+2)/(2n+2)

NS(5)=4/7,NA(5)=2/3となり、
NS(5)<NA(5)となる。

最初にBがAの持っているカードを1枚引く方がAが最終的に勝つ可能性が高い。

<解答終わり>

ちなみに最初に持っているカードが奇数枚か偶数枚かによって、
最初に相手のカードを引いた方が勝てるのか、もしくは、
最初に相手にカードを引かせる方が勝てるのかが変わってしまう。

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2013年10月3日木曜日

カップル成立の期待値~

<問題>
100人の男と100人の女がいました。
100人の男は100人の女からランダムに1人の女を選びます。
100人の女は100人の男からランダムに1人の男を選びます。
男と女がお互いに相手を選んだとき、カップル成立とする。
さて、できるカップルの数の期待値を答えよ。






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<解答>
まず、100人の男が100人の女から1人の女を選ぶ。
一人の女が複数の男から選ばれる場合もあるし、
一人の女がどの男からも選ばれない場合もある。

次に女に1~100の番号をつける。
1番目の女はn1人の男から選ばれた。
2番目の女はn2人の男から選ばれた。
・・・・
100番目の女はn100人の男から選ばれた。

このとき、n1+n2+・・・・・+n100=100である。

次に女が100人の男から1人を選ぶ。

1番目の女が男とカップルになる確率はn1/100
2番目の女が男とカップルになる確率はn2/100
・・・・・・・・・
100番目の女が男とカップルになる確率はn100/100
(自分のことを選んだ男を女が選ぶ確率が、
そのままカップルになる確率と言える。)

100人の男と100人の女からできるカップルの数の期待値は、
n1/100+n2/100+・・・・・n100/100=1 となる。

<解答終わり>

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これは1万人の男と1万人の女であっても、
1億人の男と1億人の女であっても、できるカップルの期待値は1となる。
つまり、この世でカップルができること自体が奇跡に近いはずなのである。
しかし、残念ながら、
男が女を1人だけ選ぶということはなく、複数人選ぶこともありうる。
(また、女→男もしかり)
そういうことを考えると、できるカップルの数の期待値が1より大きくなってしまう。


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ところで、男が女をランダムで選ぶということはなく、
美人の女を選びやすいなどを考えると、できるカップルの数の期待値
はどうなるのであろうか?

<問題>

100人の男と100人の女がいました。
100人の男は100人の女から1人の女を選びます。
100人の女は100人の男から1人の男を選びます。
男には、それぞれ1~100の番号がついてます。
女には、それぞれ1~100の番号がついてます。
iの番号がついた男は自分が女から選ばれる確率はxiです。
iの番号がついた女は自分が男から選ばれる確率はyiです。
ただし、x1+x2+・・・・・+x100=1
y1+y2+・・・・・+y100=1である。

男と女がお互いに相手を選んだとき、カップル成立とする。
できるカップルの数の期待値を示せ。

<解答>
できるカップルの期待値は
1番目の男と1番目の女がカップルになる確率はx1y1
1番目の男と2番目の女がカップルになる確率はx1y2
・・・・・・・・・・・・
100番目の男と100番目の女がカップルになる確率はx100y100


これらの確率をすべて足し合わせると、
(x1+x2+・・・・・+x100)(y1+y2+・・・・・+y100)=1
となる。

ゆえに、できるカップルの期待値は1である。
<解答終わり>


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2013年10月2日水曜日

数学で透視図法を学ぶ {お絵描きしたい受験生用}

 <問題> xyz座標上に直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)があるとする。
(x1,y1,z1,a,b,cは定数。tは実数で可変。b>0とする。)
直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)上の点と点(0,-d,0)を含む直線とy=0平面
の交点をtを使って表せ。(ただし、d>0)
またt→∞の時、その交点はどこに収束するか。






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解答は下にスクロールしたら出てきます。
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お絵描きするには、必要な知識。
でも、お絵描きする時に使うのめんどくさいから使わない

<解答>
下の図を見て考えると解ける。
求める交点のx座標は、直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)上の点のx座標(x1+ta)
d/(y1+tb+d)倍したものとなる。求める交点のz座標も同様である。
求める交点は、
(x,y,z)=( (x1+ta)d/(y1+tb+d), 0 ,(z1+tc)d/(y1+tb+d) )

t→∞の時、求める交点は
(a/b ,0, c/b)となる。
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<解答終わり>
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上図は、目の位置やら紙面やら問題に書いてなかったことをあれやこれや含んでる。
この図が何を意味してるかというと、目で直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)を見ると、
紙面上にプロットされた直線のように見えることを意味している。
(人の目だと実は微妙だが、カメラ目ならこのように見える)

ここから、透視図法の話をする。

透視図法とは、絵画の技法であり、紙面奥の点を上図のように紙面上に
のせることである。
ここで、透視図法を使って、馬を描くことを考えよう。
紙面の奥に馬を置いて、馬を構成している点を考えて、
その点と目を結び直線をつくり、その直線と紙面の交点をどんどんプロットすると、
紙面上に馬の絵が描けるのである。
(同じような説明を繰り返してしまった感じがする)

そして、この問題では、馬ではなく直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)を
透視図法で紙面上にプロットした。
その結果、この直線は紙面上に
(x,y,z)=( (x1+ta)d/(y1+tb+d), 0 ,(z1+tc)d/(y1+tb+d) )
とプロットできることがわかった。

さらに、この直線のt→∞の点は、透視図法でy=0紙面上の(a/b ,0, c/b)にプロットできる。
この点は、実は、目の位置(0,-d,0)からベクトル(a,b,c)で出した
直線(x,y,z)=(0,-d,0)+s(a,b,c) と、紙面y=0の交点である。
(sは可変とする。これについて各自確認)

なぜ、そうなるかというと、
t→∞になればなるほど、直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)上の点と
目の位置(0,-d,0)を結ぶ直線のベクトル方向が、(a,b,c)となるからである。

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この点(a/b ,0, c/b)は消失点と呼ばれる!!!!(お絵描きする人はここが重要)

直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)を透視図法で紙面上に描くと
消失点(a/b ,0, c/b)を含む直線となる。
((x1,y1,z1)が何であるにも関わらずにだ!!)
これより、平行な直線は同じ消失点を持つ。

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このことを利用して、建物を紙面上に描いてみよう。(下図)


消失点を使えば、なんとなく建物が描ける。

そういえば、直線を紙面上にプロットするときに、
プロットしたものも直線になるのだろうか?全く気にしてなかったから
証明をしてみよう。
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<問題>
直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)上の点と点(0,-d,0)を含む直線とy=0平面
の交点の集合は直線になることを示せ。

<解答>
y=0平面上の(x(t),z(t))=( (x1+ta)d/(y1+tb+d) ,(z1+tc)d/(y1+tb+d) )
が、直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)上の点と点(0,-d,0)を含む直線とy=0平面
の交点の集合である。

すべてのtで、傾きdz/dxがある一定の値になれば
この問題の交点の集合が直線になることを示せるはず。

dz/dx=(dz/dt)/(dx/dt)
={d(ay1-bx1+ad)/(y1+tb+d)²} /{d(cy1-bz1+cd)/(y1+tb+d)²}
=(ay1-bx1+ad)/(cy1-bz1+cd)

dz/dxがtに依らずある一定の値を持つために、この問題の交点の集合は直線となる。

<解答終わり>

実は、直線(x,y,z)=(x1,y1,z1)+t(a,b,c)上の2点と点(0,-d,0)でできる平面と
y=0平面が交わってできる線は直線であるのひとことで終わりなのであった。
なんで解いた後に気付くんだろうか。

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